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その鳥


とてもきれいな音楽や、音を聞いていると、頭の中に映画のような、アニメーションのようなものが見える。ちょっとした物語みたいな空想を、まぶたの裏にぼんやり見ることがある。

今日はふんわりと、前から頭の隅にあった映像を書き起こしてみた。備忘録。
いつか色鉛筆とスケッチブックで挿絵を描いてみたい。


タイトルは思いつかないから「その鳥」でいいや。




その鳥は、つがいを一生だいじにします。

であった瞬間から、お互いの役目がわかるのです。



その日、オスの鳥はこもれびの中で、つばさを洗っていました。
すると、うたを歌っているメスの鳥と出会いました。

ふたりはなんとなく目が合って、ちょっと枝をとびうつりました。
それからやっぱり気になって、もう一回枝をとびうつりました。



もう一回。もう一回。



そして気がついたら、ふたりは一緒に季節をすごしていました。



ある日、メスの鳥は、卵を産むといいました。

メスの鳥は、露にぬれたくもの巣を食べ、卵を産む準備をしました。
オスの鳥は朝もやをあつめ、家族の家をつくりました。


その鳥のからだは、ほとんど空気と同じ、透明な色をしています。
そして卵から生まれたとき、いちばん最初に光りがふれたところから、虹のいろに染まります。

だから、同じ色をした鳥は、一羽もいません。
その鳥を見た昔の人間は、たいようの鳥と呼びました。

なぜなら心臓のところに、小さな太陽のような光が、いつも輝いているからです。


その鳥のたまごは、とても小さくて、しゃぼん玉よりも薄い、透明なからに包まれています。

だけどどんなに強い風が吹いても、ざくざくした地面におっこちても、そのからはけしてわれません。宇宙でいちばんかたいからなのです。


ある日オスの鳥は、卵をあたためているメスの体の色が、いつもより薄いことに気がつきました。


「もうすぐ、卵がかえるのよ」



それから満月がのぼって、夕日がしずんで、新月がちかづきました。

とうとうメスの体は、虹の色がのこらないほど、透明になってゆきました。


メスの鳥は「またね」と言いました。
オスの鳥も「またね」と言いました。

たまごは、もうかえる寸前です。


メスの鳥の体が、もう、透けてなくなってしまうとき。
オスの鳥は、ぎゅっとメスの鳥の体を抱きしめました。


メスの鳥のくちばしが、オスの鳥の心臓に、つんとふれました。


オスの体は、しゃぼん玉のようにぱちんとはじけました。
メスの体は、空気の中にとろりときえてゆきました。




「これでよかった」と、ふたりは最後まで幸せでした。




翌朝、たまごがかえる時期がやってきました。

朝日がのぼる瞬間です。



朝日が地上を照らします。生まれたばかりのひなのからだにも、光が射し込みました。


鳥は、すき通った体に、たいようの光をいっぱいあびました。



虹の色に染まった鳥は、まぶしそうに目を細めました。

なぜだかすこし、涙がでました。

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