忍者ブログ

リア充の最小単位は1

Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > 心のスクワット > 名前のない芋虫

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

名前のない芋虫

(名前のない芋虫がまたあらわれた。)



土曜の朝、しめきっていたはずの部屋のカーテンが、なぜかふわりとゆれた瞬間にそう思った。


もともと虫が好きでないわたしは、彼らを見るたびにぞっとする。
ぬめぬめ光っていて、ぶよぶよした体を不気味にくねらせている。
一体どこからやってきて、どこに消えていくのかいまだに分からない。
気が付いたら部屋の中に大量繁殖している。


はらってもつぶしても消えないそいつらは、ただもうほっておくしかない。
それでまた気が付いたら、そんな存在なかったかのように居なくなる。不思議だ。


時計は朝の9時をまわった。

つい先月までは、朝はやく起きて散歩して、お茶を飲みながら読書をしていた時間だ。
でも今はこうして、ただぼんやりと天井の汚れ絵を眺めている。
ゆれたようなゆれないようなカーテンを見ている。
ちなみにさっきから体中を芋虫にはわれている。


じわりじわり蝕まれる感覚は、最初こそ恐ろしかった。
パニックになって、「これは大変だ」と、殺虫剤をふっかけようともした。

だけど大人になるにつれだんだん慣れてきた。
あいかわらず彼らは気持ち悪いし、こんな気分にさせられるのはいやだ。
だけど、ときに大量発生する時期だってある。



もぞもぞと心をつたいながら、「ああ、また食べられていく」ような、
感情をかじられていくような、うずき、かゆみ、無痛の痛み。傷跡はどこまでも深い。


芋虫の色、形、大きさ、数・・・たぶん人の数だけやつらもいるはず。
そして必ず、気が付いたらいなくなってる。


たぶんうつになっちゃったときは、心の中に芋虫がいっぱいいるんだと思う。
最上級にグロテスクなやつがいっぱい。

んで「もうつらい」なんて、散々食い散らかしてくれてぼろぼろになるけど、
じつは彼らはマイナスの感情を食べてくれてるんだよね。

だから元気なときは心が軽い。
どす黒い感情を食べてくれた彼らが成長して、ちょうちょになって飛んでいくから。
だからそうなんじゃない今は、そんな時期なんだって。



だからカーテンがゆれたのは見間違いじゃない。

きっとちょうちょが一匹飛んでいったんだ。


拍手[0回]

PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword

PAGE TOP